西日本電信電話事件(大阪地判平21・3・25) 転籍しないと60歳で定年退職、高年法に違反か 継続雇用制度の趣旨に適合 ★
NTTの従業員ら35人が、賃金減額を伴う転籍に応じず、60歳で退職させられたのは高年齢者法に反するとして地位の確認等を求めた。大阪地裁は、継続雇用制度は、常用雇用や短時間勤務等多様な雇用形態を含むものと解され、「転籍型」において、同一企業グループである子会社で安定した雇用が確保される関係性が認められることから法制度に適合すると判示した。
子会社で就業確保 「就業形態」は多様
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
この事件は、会社に雇用されていた原告らが、60歳を迎え、退職することになったところ、会社が採用している60歳定年制が、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(以下、高年齢者法)9条1項に違反して無効であり、その結果、会社では定年制の定めがないものとなるとして、①原告らが会杜との労働契約上の権利を有する地位にあることの確認、②各々の退職日とされた日の翌日以降から本判決確定の日までの賃金等の支払い等を求めたものである。
会社は、事業構造の変更に伴い、雇用形態および処遇体系等につき、平成15年3月31日の時点において51歳以上となる社員に対し、繰延型、一時金型(いずれも、会社を退職し、地域会社に再雇用され、60歳まで勤務した後、61歳以降は最長65歳まで契約社員として地域会社に再雇用されるが、所定内給与が20%ないし30%低下することに対する激変緩和措置の支給方法に違いがある)および60歳満了型(引き続き会社に勤務し、就業規則に基づき60歳で定年退職する)を内容とする制度を前提に、雇用形態の選択を求めたが、原告らはいずれも回答しなかったため、60歳満了型を選択したものとみなされ、会社を定年退職したものと扱われた。
判決のポイント
高年齢者法9条の私法的効力について…
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