昭和シェル石油(賃金差別)事件(東京高判平19・6・28) 性別を理由に配置昇進で差別あったと賃金請求 努力義務規定でも不法行為 ★

2008.03.24 【判決日:2007.06.28】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

 「女性」を理由とする賃金の差別的取扱いにつき、損害賠償を認めた原審を不服とし会社が控訴した。東京高裁は、男女間の格差に合理的理由がなければ、性の違いによるものと推認でき、会社合併による職能資格等級への移行時に正当な等級より低く格付けしたことについて、単なる訓示でなく実効性を求めた均等法の趣旨に反するとし、時効による減額を差し引いて賠償を認めた。

格差を維持・拡大 法の趣旨に反する

筆者:弁護士 石井 妙子(経営法曹会議)

事案の概要

 Xは、昭和26年にZ社(その後、合併によりY社となる)に入社し、昭和31年から52年までの21年間は和文タイプ業務を専門に担当し、同年以降はパソコンデータの送受信業務、テレックス業務等にも従事し、平成4年に定年退職した。

 退職後、Xは、在職中、賃金について女性であることのみを理由に男性と差別的な取扱いを受けたとし、Yに対し不法行為による損害賠償として、昭和60年1月の合併以降、退職時までの賃金・退職金の差額、公的年金の差額、慰謝料、弁護士費用の支払いを求めて提訴した。

 原審の東京地裁(平15・1・29)は、男女間の格差の存在や、人事担当課長会議で配布された昇格基準に関する資料などから男女賃金差別を認定し、不法行為が成立するとし、Yに対し、賃金・退職金・年金の差額相当額および弁護士費用計4536万6952円の支払いを命じた。

 Yは控訴して、男女差別の存在を争うとともに新たに消滅時効を主張、Xも原審敗訴部分について付帯控訴を提起した。…

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

ジャンル:
平成20年3月24日第2674号14面 掲載
  • 広告
  • 広告

あわせて読みたい

もっと見る
ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。