セコム損害保険事件(東京地判平19・9・14) 入社直後から上司批判、指導に応じず普通解雇 協調性の欠如は顕著で相当
女性社員の上司や同僚に対する暴言、反抗的態度が入社以降1年間も改善されないことを理由とする解雇の有効性を争った。東京地裁は、採用当初から労働契約における信頼関係は成り立たず、回復困難な程度に破壊されたと判示。度重なる指導・警告がなされた状況から、他の懲戒処分を経ていないことをもって適正手続違背とはいい難く、解雇は合理的かつ相当とした。
信頼の回復困難に 処分経ずとも適正
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
原告Xは、被告会社から懲戒解雇されたとして、従業員としての地位確認および解雇後の月例賃金、賞与などの支払いを請求し、これに対し、被告は、本件の解雇は懲戒解雇ではなく普通解雇であり、合理的な理由に基づいた解雇であって有効であると主張した。
Xは、平成17年4月に、被告との間で期間の定めのない雇用契約を締結して、損害サービス業務部メディコム・ナースコールセンターに配属され勤務していたが、入社当時より職制・会社批判を行い、上司や人事部門の度重なる指導・警告にも態度を改めなかった。そして平成18年4月、被告より即時解雇するとの意思表示を受けた。
被告は、解雇通知書において、解雇事由として、①礼儀と協調性に欠ける言動・態度により職場の秩序が乱れ、同職場の他の職員に甚大なる悪影響を及ぼしたこと、②良好な人間関係を回復することが回復不能な状態に陥っていること、③再三の注意を行ってきたが改善されないことの3点を挙げ、これらは、就業規則に著しく違反する行為であり、改善が見込めないとして、即日解雇するとしている。…
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