新生ビルテクノ事件(大阪地裁平20・9・17) 有期のビル管理人が中途解雇は違法と賃金請求 業務命令違反でやむ得ない
宿日直でビル管理を行う有期労働者が、会社の呼出し拒否を重ね中途解雇されたため、期間満了までの賃金や仮眠中を含めた時間外割増を請求した。初審の大阪簡裁は請求を認めたが、退職金など棄却分を求めて控訴した。大阪地裁は、業務命令違反は懲戒・普通解雇事由に当たり、解雇はやむを得ない事由によるとし、また仮眠時間の労働時間性を否定し控訴を棄却した。
呼出し拒否重ねる 仮眠時の割増ムリ
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議 東京大学法科大学院客員教授)
事案の概要
原告(本件控訴人)は被告Y社(同被控訴人)と有期労働契約を締結し、訴外入管センターにおいて設備管理業務に従事していたが、空調設備の運転管理を巡る保健所への直接連絡、その経緯に関するY社社員との面談拒否など、業務命令違反を理由として中途解雇された。
原告は、本件解雇につき、解雇無効に基づく損害金相当額(有期雇用期間の残存期間の賃金相当額)や時間外割増賃金未払分等を求めて大阪簡易裁判所に提訴し、同簡裁(平19・10・30)では原告の主張を大筋で認めたが、原告はさらに棄却分(退職金など)の差額を求めて控訴に及んだ(Y社は控訴していない)。
なお、原告の勤務形態は「日勤」「宿直」「宿直明け」「休日」を4日単位で繰り返すものであり、宿直は午前8時から翌日午前8時まで24時間勤務するものであるが、その間に6時間(午後10時~午前4時)の仮眠時間が認められていた。時間外割増請求では、上記仮眠時間が労働時間か否かが主として争われた。
判決のポイント
①控訴人は、自らの判断で入管センターのカビ発生の対応等について問題があるとして平成16年11月17日以降、直接、茨木保健所に数回電話をし、厚生労働省の担当職員に電話して、関連事項を尋ねる等したこと、…
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