ハネウェルジャパン事件(東京地判平19・12・14) 降格無効で職場復帰、業務命令従わず即時解雇 他の懲戒処分で改善不可能
裁判で過去4度の降格・減給処分は違法、不当との判決後に復職した従業員が、業務命令に従わず、度重なる警告も無視したため会社が即時解雇したもので、その効力を争った。東京地裁は、復職まで8カ月を要したうえ、処遇から職制へ不信感を抱き、指揮命令に抗する態度には職責遂行の意思がなく、解雇以外の懲戒処分をもって改善・緩和は期待できないと判示した。
不信感残ったまま 職責遂行意思ない
筆者:弁護士 岩本 充史
事案の概要
Xは、昭和61年3月にYの前身である甲株式会社に入社し、平成12年4月1日に営業担当取締役に任命された。同年9月から平成15年までに受けた4度にわたる降格・減給の各処分を訴訟で争い、当該処分を無効とする第一審判決(東京地判平16・6・30)、一審とほぼ同様の結論を維持する控訴審判決(東京高判平17・1・19)がなされ、平成17年2月3日に確定した。
判決確定後、Y本社に出社したところB社長から就労を拒否され、双方が代理人を通じて交渉をする約8カ月間、Xは自宅待機の状態が続いた。
雇用条件を交渉した結果、IAMサポートアジア担当部長として、アジアIAMディレクターDの指揮命令に服し、組織上、社長であるBの指揮命令にも服することという職場復帰命令が出され、これに同意して平成17年10月17日に復職した。
その後、Xは、上司であるDのもとにおいて、指示された最初の中心的業務である7業務を遂行せず、Dの指揮命令に服さない対応・態度を示すとともに、上司に当たるB社長へも職務命令に服す必要のないかのような対応をした。…
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