ニュース証券事件(東京地判平21・1・30) 中途採用3カ月の証券課長、成績不振とクビに 試用期間途中で性急な判断

2009.09.28 【判決日:2009.01.30】
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 証券会社に営業課長として中途採用されたが、6カ月の試用期間満了前に成績不振で解雇されたため、地位確認や賃金等を請求した。東京地裁は、営業収入は高いとはいえないが、世界同時株安等の外的要因を考慮すると解雇はあまりにも性急で、わずか3カ月強で資質・能力等が適格性を有しないと認めることは到底できないとして、合理性を欠き解雇無効と判示した。

契約は半年に設定 世界株安考慮せず

筆者:弁護士 石井 妙子(経営法曹会議)

事案の概要

 Xは、A証券で営業職として勤務していたが、平成19年5月、Y社に営業職の正社員(課長)として中途採用された。Xの給与は65万円、賞与は6月・12月それぞれ105万円とされた。

 Yでは6カ月の試用期間があったが、Xの手数料収入は月平均38万円余と、給与分にも達しない状況であったため、Yは、9月3日、「試用期間中に不適と認められるとき」の条項によりXを解雇した。なおXは、11月1日以降は、C証券に就職した(月額60万円、賞与なし)。

 Xは、解雇無効を理由とする地位確認、賃金請求、解雇無効を理由とする不法行為に基づく損害賠償(C証券との賃金差額、慰謝料250万円、弁護士費用25万円)、平成19年6月の賞与、時間外・深夜・休日手当および付加金を請求した。

判決のポイント

 平成19年5月から9月3日までの期間のXの手数料収入は高いものとはいえないが、わずか3カ月強の期間の手数料収入のみをもってXの資質、性格、能力等がYの従業員としての適格性を有しないとは到底認めることはできず、本件解雇(留保解約権の行使)は、是認することができない。…

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平成21年9月28日第2746号14面 掲載
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