NTTグループ企業(年金規約不承認処分)事件(東京地判平19・10・19) 規約型年金の減額変更を認めない行政判断は? 経営悪化の要件備えず適切
確定給付企業年金法に基づき、規約型企業年金の給付額減額などを内容とする変更申請に対し、不承認とした行政処分の取消しをNTTグループ企業が求めた。東京地裁は、法定要件である「経営の悪化」「掛金の困難性」を満たさないとの行政判断について、継続的に利益を計上しており、業績予想と比較しても、掛金拠出が困難になる経営の悪化は認められないと判示、請求を棄却した。
利益で掛金拠出可 業績予想から判断
筆者:弁護士 岡芹 健夫(経営法曹会議)
事案の概要
Xらは、日本電信電話を中心とした東日本電信電話および西日本電信電話(以下総称して「NTT東西」)等で構成するNTTグループ企業で、確定企業年金法に基づくNTTグループ規約型企業年金を実施する厚生年金適用事業所の事業主である。
Xらの計算(平成15年)によれば、実際の年金資産を上回る年金債務の額(過去勤務債務)を3年間で約6000億円償却する必要性が判明、また掛金総額が平成14年度の約959億円から18年度には最大2076億円へと上昇することが予測され、NTT東西の経営状況および財務内容は減収傾向で、上昇後の掛金拠出が困難と見込まれた。
そこで平成17年9月13日、Xらは処分行政庁であるY(厚生労働大臣)に、以下①,②の内容の年金規約変更申請を行った。
①NTT企業年金の予定利率(年金資産の将来の運用利回りの見込み利率)を2.0%から1.3%に引き下げる。②既に年金給付を受けている受給権者等(平成16年3月31日以前の退職者)についても、…
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