三井丸紅液化ガス事件(東京地判平21・3・27) 成果主義導入で降格、評価不当と差額賃金請求 格付けに人事権の濫用ない
商社が成果主義を導入し、管理職からスタッフ職へ降格したため、定年退職後に差額賃金等を請求した。東京地裁は、就業規則は労組の同意を得て周知され、減額分は調整給で補填すること等から制度導入は不適法でないと判示。また、過去の評価では自己中心的で配慮に欠け管理職の適性を備えているとはいい難く、格付けに人事権の濫用はないとして、請求を棄却した。
管理職の適性欠く 減額分を一部補填
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
被告会社は、平成13年4月、新々人事・賃金制度を導入した。同制度は従来の人事・賃金制度の年功色を排除し、業界環境並びに将来の労働市場流動化等を考慮した役割・成果を中心とした人事制度への転換を図ることにあると説明された。新制度の役割の枠組みを定めた「役割・グレード制度規程」によれば、役割は、各従業員の職務に応じて決定するものとされ、具体的な役割階層区分は、責任領域に応じて9つに区分された。
同制度導入により原告はSF(スタッフ)(G3)に格付けされた。原告は、導入前7級職であったから、新制度のSSF(シニアスタッフ)に格付けされるべきところ、格付けされたSFは5級職相当の資格であり、降格を意味する。SSFとSFとでは、月例基本給において8万円の差がある。このような賃金の引下げは、たとえ降格に理由があるものであったとしても、新制度の移行基準を大幅に逸脱するものであり、労働者の同意による場合を除き、就業規則の規程に基づかなければならないところ、そのような大幅な逸脱を容認する就業規則の定めは存在しないから、このような賃金の切下げは無効であると主張し、差額賃金304万円、慰謝料816万円等を請求した。…
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