キヤノンソフト情報システム事件(大阪地判平20・1・25) 再発恐れ復職拒む、休職期間満了で退職扱い? 債務に沿う労務提供は可能
2008.07.28
【判決日:2008.01.25】
私傷病で休職中に復職を申し出たが、再発を恐れた会社に拒否され、休職期間満了とともに退職扱いになったことから、就労拒絶を理由に賃金等を請求した。大阪地裁は、職種の限定はなく、配置の可能性が高い業務への復職の意思を表示しかつ就労可能ならば、債務の本旨に従った労務提供があると解することができるとし、退職日以降の賃金請求権は失わないと判示した。
会社が原職に拘泥 職種の限定はない
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
キヤノンソフト情報システム㈱は、コンピューター利用技術の開発、販売等を行う会社で、甲は、平成6年4月1日に雇用され、以来、コンピューターのプログラマーとして技術職の仕事に従事した。
甲は、平成14年6月25日から自律神経失調症を理由に欠勤を続け、平成15年7月9日、欠勤期間が満了したため、翌10日からクッシング症候群および自律神経失調症を理由に、最長2年間の休職期間に入った。
会社においては、欠勤期間中の従業員には賃金の全額が支給されるものの、休職中の従業員には、給与規定により賃金は支給されず、休職期間の満了により退職と扱うとされていた。
甲は会社に対し、平成16年7月9日と翌年3月17日に書面で復職を申請したが、いずれも認められなかった。…
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平成20年7月28日第2690号14面 掲載