マガジンハウス事件(東京地判平20・3・10) 配転拒否やうつ病休職中の会社批判理由に解雇 非違の程度重く相当性ある
編集部付カメラマンが配転命令拒否後に、うつ病を理由に1年間欠勤しブログ内で会社を批判したこと等から、普通解雇されたため、雇用契約上の地位確認などを求め提訴した。東京地裁は、配転命令拒否に正当な理由はなく、賃金の支給等、療養を支援する趣旨に反した行動が服務規律違反に問われることはやむを得ないとして、解雇には社会的相当性が認められるとした。
ブログで過激表現 療養の趣旨に反す
筆者:弁護士 緒方 彰人(経営法曹会議)
事案の概要
被告は、雑誌および書籍の出版等を目的とする株式会社で、原告は昭和57年4月に入社し、以後、雑誌の編集部付のカメラマンとして稼働していた。平成17年9月20日、被告は、原告に編集部から写真管理部への異動を内示し、10月5日付で異動を命じた。しかし、原告は内示直後から本件配転に難色を示し応じようとしなかったばかりか、辞令の受領を拒否するとともに診断書(診断名①うつ病、②不安障害)を提出し欠勤を続け、18年6月には代理人に弁護士を立て、本件配転命令には応じられない等とする内容証明郵便を被告に送付する等した。
他方、原告は17年10月6日から18年10月5日まで、うつ病や不安障害を理由として欠勤したが、その間もしばしば被告に出社し、編集部の出勤簿に自分の名前を書き加え「出」と記録するなど、本件配転命令に対する抗議活動を行っていたほか、原告が所属する労働組合の大会に出席し、組合の執行役員の選挙に立候補するなどの組合活動を行った。また、ブログを開設し、日々の出来事や被告に対する批判を行い、これを被告社内に周知するためのメールを送信していた。
被告は、本件配転命令に応じなかったこと、早期に復社すべく療養に専念しなかったこと、本件ブログにより、被告の名誉信用を毀損したこと等を理由に、原告を普通解雇した。…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら