日本インシュアランスサービス事件(東京地判平21・2・16) 保険調査で事業場外みなし、休日の労働時間は 概括的算定でも合理性ある
労基署から休日割増の是正勧告を受けた生命保険関係会社が、みなし労働時間制で調査業務等を行う職員に対し、平日の報告書作成時間を基に割増を支払ったところ、実労働時間で算定すべきと主張する5人が差額等を請求した。東京地裁は、時間報告はなく把握もできない場合、概括的な算定でも合理性があり、実労働時間より短くなるとしても、裁量権の逸脱ではないとした。
実際より短くても 裁量権の逸脱ない
筆者:弁護士 岡芹 健夫(経営法曹会議)
事案の概要
Y社は生命保険会社が行う契約選択業務に係る確認業務を受託している株式会社である。
Y社が取り扱う主要業務は、①生命保険の死亡保険金や各種給付金等の支払いに際し、告知の有無、事故の状況や事故により生じた障害の状態、入院加療の内容等を確認する業務(以下「保給確」)、②生命保険、生命共済などの新たな契約を締結する際に、その契約の諾否を決定するのに必要な判断材料の収集(被保険者の健康状態、職業、契約者・被保険者・受取人の関係等の確認)を行う業務(以下「決定前」)、③損害保険の調査に関連した確認業務、である。
Xら(5人)は「業務職員」としてY社に雇用され、確認業務に従事している。
Xら業務職員の行う確認業務の作業態様は、Y社から宅急便やメール等で担当案件の確認業務に関する資料を自宅で受領し、必要に応じて自宅から確認先等への訪問を行い、事実関係の確認を行い、その結果について確認報告書を作成してY社へ送付するというものであった。
Xらは土、日が休日とされ、平日は所定労働時間が7時間とされている。また、確認業務は事業場外みなし労働時間制が採用されている。…
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