ニコンおよびアテスト事件(東京高判平21・7・28) 請負社員がうつ病自殺、発注者へ損害賠償請求 心身の健康注意義務に違反
2009.12.07
【判決日:2009.07.28】
請負労働者が自殺したのは過重労働によるうつ病が原因として、両会社に損害賠償を求めた事案の控訴審。東京高裁は、寮に単身で居住する場合、健康状態の把握が可能な使用者側に自殺原因の立証責任があるとした。うつ病の業務起因性を認めたうえで、実態は派遣で派遣先が負う「健康を損なうことを予防する注意義務」に反すると判示。賠償額を減じた一審を取り消した。
実態は労働者派遣 一審の減額を破棄
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
A社(㈱アテスト)は電子計算機のソフトウエアおよびプログラム等の開発・設計・事務用機器の操作・保守・維持管理等の労務の請負を業とし、B社(㈱ニコン)は精密機械・器具等の製造、販売等を主たる業とする会社で、同社熊谷製作所ではステッパーとよばれる縮小投影型露光装置を生産していた。
労働者甲は、平成9年10月27日、A社に雇用された後、B社熊谷製作所の半導体露光装置品質保証部第2品質保証課成検係に配属され、平成11年2月25日まで主としてステッパーの完成品検査の作業に従事した。
熊谷製作所のB社従業員の通常勤務の就業時間は、就業規則によれば、昼勤(午前8時30分から午後7時30分)と夜勤(午後8時30分から翌日午前7時30分)の交替制であった。…
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平成21年12月7日第2755号14面 掲載