東芝事件(東京地判平20・4・22) うつ病休職期間満了で解雇、法の制限に違反か 業務上の疾病に相当し無効 ★
うつ病による休職期間満了で解雇した従業員が、業務上の理由による発症で解雇は無効として、地位の確認、解雇後の賃金支払いなどを請求した。東京地裁は、残業が月間60時間以上だったことから業務との相当因果関係を認め、労基法所定の解雇制限に反し無効と判示。また労務提供の不能は安全配慮を怠った債務不履行によるものとして、解雇後の賃金請求権も認めた。
残業時間から判断 賃金請求権も認容
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
原告は、平成13年10月、診断書(病名抑うつ状態)を提出した上、欠勤を開始した。
被告会社は、原告の欠勤期間が就業規則19条に定める期間を超えた平成15年1月、原告に対し、休職を発令した。
被告は、平成16年8月、原告に対し、通算条項を考慮した所定の休職期間満了を理由とする解雇予告を行い、同年9月9日付で本件解雇をした。
原告は、平成16年9月、労働基準監督署長に対し、うつ病が業務上の傷病であるとして、休業補償給付支給請求および療養捕償給付たる療養の費用請求をしたが、労基署長は、平成18年1月、うつ病が業務上の事由によるものであるとは認められないとして、右給付を支給しない旨の処分をした。
原告は、同処分を不服として、審査請求を申し立てたところ、審査官は、同年12月、原告に対し、うつ病が業務に起因することが明らかな疾病ではないことを理由として審査請求を棄却する旨の決定をした。
原告は、会社に対し、解雇は業務上の疾病に罹患して休業していたにもかかわらず行われたものであって違法無効であると主張して、雇用契約上の権利を有する地位の確認および本件解雇以降の賃金の支払いのほか、被告の安全配慮義務違反によって前記疾病に罹患したとして、債務不履行または不法行為に基づき慰謝料等の支払いを請求した。…
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