国・中労委(ビクターサービスエンジニアリング)事件(東京地判平21・8・6) 個人代行店主との団交、拒否不当の労委判断は 労組法上の労働者性備えず ★
音響製品の修理業務を委託された個人代行店主らが結成した労組との団交拒否について、大阪府労委は不当労働行為に当たるとし、中労委が再審査申立を棄却したため委託会社が命令取消しを求めた。東京地裁は、業務の指揮監督を受けたとはいえず、委託料は労務提供の対価といえないこと等から、労組法上の労働者性を根拠付ける事実関係はないとして命令を取り消した。
裁量が可能な業務 実態は独立事業者
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議 東京大学法科大学院客員教授)
事案の概要
ビクターサービスエンジニアリング㈱(原告)との業務委託契約に基づいて、日本ビクター㈱の音響製品等の修理等業務に従事する個人営業のビクターサービス代行店により労働組合として結成された補助参加人分会、補助参加人大阪地本および全日本金属情報機器労働組合ビクターサービス支部が、代行店の待遇改善について原告に団体交渉を申し入れた。
補助参加人分会が出席する交渉および代行店に関する事項についての交渉に応じないとしたことについて、大阪府労働委員会から、組合支部に対するものを除き、労働組合法7条2号に当たる不当労働行為であるとされ、団体交渉に応ずべきことなどを命じられた。
これを不服として中央労働委員会(以下、中労委)に再審査を申し立てたが、中労委により再審査申立を棄却する旨の命令がされたことから、個人代行店は労組法上の労働者に当たらないなどと主張して、同命令の取消しを求めた事案である。…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら