学校法人聖望学園ほか事件(東京地判平21・4・27) 校長を1期4年で不再任へ、雇用契約打切り? 教員へ降格の法的効果発生
学校法人の元校長が4年の任期満了後、不再任となり教員へ降格したのは違法として地位確認等を請求した。東京地裁は、雇用契約は終了しておらず解任決議は降格に当たり、それ自体は人事権に基づく裁量権の行使として違法性はないが、給与減額は職務能力の認定引下げを意味し、制度が本来予定していないものであり、根拠規定がないことから違法と判示した。
職能資格 制度では予定外 根拠欠き減給ダメ
筆者:弁護士 岩本 充史
事案の概要
Y1は、学校法人で、Y2は、Y1の教諭、学校長、理事を経て、Y1の理事長に就任した者である。XはY1と、平成15年4月1日付けで雇用契約を締結し、学校長に就任した。Y1においては、従前から、学校長について4年ごとに理事会で再任する手続きが行われており、それを「任期」と称していた。
XはY1から招聘を受けるに際し、学校長には任期があることを当時のY1の理事長およびY2から聞き知っていたが、学校長として再任決議がなされないと本件雇用契約自体が終了することを、当時のY1の理事長およびY2は、Xに対して明示的に説明していなかった。
Y1は、平成19年2月13日の臨時理事会において、Xを同年4月以降、学校長として再任しないことを議決し、同月15日、Xに告知した。Xは後任の学校長と相談し、不再任決議を認めないとしたうえ、情報科を担当する旨の校務分掌を提出し勤務を継続した。
Y1は退職金の支払いを含むXの退職に伴う事務処理を行った形跡もなく、新たにXを教員として任命する行為もしないまま、平成20年4月以降、Xの賃金を減額したため、Xは、学校長として稼働する地位および学校長たる給与の支払いを受ける地位にあることの確認等を求めた。…
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