千年の杜ほか事件(東京地判平19・11・30) 新規採用の役員を短期間で年俸減額し更に解雇 業績不良以上の合理性必要
住宅販売会社に高額年俸で中途採用された役員ら2人が、一方的に減給されたうえ、1年余で整理解雇されたため、その効力を争った事案。東京地裁は、一旦確定した年俸額の変更について、労働者の同意がない減額は無効であり、またある程度の期間を前提として経営の立て直しを期待し雇用したもので、解雇には単なる業績不良以上の合理的理由が必要と判示した。
あえて高給で雇用 カットに同意ない
筆者:弁護士 緒方 彰人(経営法曹会議)
事案の概要
被告は住宅販売、建築工事等を事業目的とする株式会社。原告らは、従前、注文住宅メーカーに勤務していたところ、原告甲は平成16年1月に、原告乙は同年4月に、被告に入社した。
原告甲は平成15年10月16日、被告と雇用契約を締結し、支度金として500万円の支払いを受けるとともに、採用通知書には「職位」執行役員兼事業本部統括本部長、「職務内容」住宅建設事業の生産管理および営業業務管理に関する統括指導管理業務と責任、「年俸」1500万円等の記載があった。
原告乙は平成16年2月18日、被告と雇用契約を締結し、支度金として200万円の支払いを受けるとともに、採用通知書には「職位」部・支店長待遇、「職務内容」営業業務管理に関する指導管理業務と責任、「年俸」1000万円等と記載があった。
しかるに被告は経営不振を理由に、平成16年11月末、原告甲に月額125万円支払っていた賃金を、同年12月分以降は83万円に減額し、原告乙に対しても月額約83万円支払っていた賃金を、40万円に減額した。…
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