東日本電信電話ほか事件(東京高判平20・3・26) 担当業務の外注化に伴う広域配転は権利濫用か 甘受すべき程度の不利益に

2008.09.29 【判決日:2008.03.26】
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 業務の外注化に伴い、全国広域の社員が配転させられたため、各々労働契約上の義務がないことの確認等を求めたが、原審は配転の必要性・合理性を認め、権利の濫用ではないとした。本件はその控訴審で、東京高裁は、原審判決を維持し、配転には業務上の必要性があり甘受すべき程度を超える不利益を負わせるものではなく、配転命令権の濫用とは認められないと判示した。

業務上必要性あり 原審を相当と判示

筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)

事案の概要

 原告甲らは、昭和30年代後半から昭和40年代にかけて、電電公社(日本電信電話株式会社・NTT)に雇用され、以後期間の定めのない労働者として働いているものである。

 会社は、構造改革による雇用形態の見直しを公表し、50歳以上の従業員は①繰延型、②一時金型、③60歳満了型のいずれかを選択することとした。

 ①は新たに設立する会社に再雇用され、60歳まで勤務する、新会社は各地サービス系会社として設立され、再雇用後は給与が低下するものの、勤務地は限定される、②は①と同様であるが、退職時に一時金を支給される、③は、NTT東日本等において、現行の人事・給与制度により60歳まで雇用を継続する、ただし、いずれかを選択しない者は③を選択した者とみなすという内容であった。

 甲らは、満了型を選択した者とみなされ、平成14年7月1日付または同年8月1日付で、北海道等から首都圏へ配置転換(本件配転)された。…

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平成20年9月29日第2698号14面 掲載
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