日通岐阜運輸事件(名古屋高判平20・5・26) 週休2日で日給者が減収、補填する義務あるか 賃金増額の措置は必要なし
週40時間制導入で土曜日が休日になり、出勤日減少から減収となった日給制労働者が事実上の賃金カットと主張し、会社に損害賠償を請求した。日給制放置の違法性を認めた一審(岐阜地判平19・3・28)に対し、名古屋高裁は、法改正に伴う就業規則の変更で、高度の必要性に基づく合理的な内容と認定、時短による利益もあるとして、日給額を増額すべき義務は生じないと判示した。
時短の利益受ける 法改正に沿う改定
筆者:弁護士 緒方 彰人(経営法曹会議)
事案の概要
一審被告は、貨物自動車運送事業等を営む株式会社であり、一審原告は、大型トラックの運転手募集に応募して採用されたものである。労働基準法の改正で平成9年4月1日から週40時間制が実施されたことに伴い、一審被告においても、休日に関する就業規則の一部を改訂し、「休日は、各4週間に8日として、4週変形労働時間制により1週間平均40時間の所定労働時間を設定する」と定め、日曜日のほか土曜日も休日とした。
一審被告では、事務員は月給制、作業員は日給制が採られているところ、一審原告は日給制の作業員として雇用されたものであるため、前記の就業規則の変更に伴い、賃金の月額支給額が減少した。そこで、一審原告が、一審被告に対し、週40時間制の導入に当たって、日給制の従業員に対して、事実上、賃金カットとならないよう、月給制への移行、あるいは日給額の増額その他従前の賃金を実質的に確保するためのしかるべき措置を執る義務があったにもかかわらず、これを放置した点に違法があるとして、不法行為を理由に減少額相当額の損害賠償を求めた。…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら