京都府・京都府労委事件(大阪高判平19・1・25) 係長抜擢で支部長が労組除籍、支配介入と訴え 職員任用規則に沿った措置 ★
係長昇任で自動的に組合除籍となった労組支部長による不利益取扱い・支配介入の救済申立を、棄却・却下した労委判断の当否が最高裁まで争われ、支配介入に関し組合員個人の申立適格を認める判断を受けて審問再開した労委でも支配介入に該当しないとの結論で、その有効性が問われた。大阪高裁は、任用規則に従った措置で昇任に不合理はなく、組合活動への影響も小さいとして棄却した。
同期の半数が昇任 活動への影響は小
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議 東京大学法科大学院客員教授)
事案の概要
控訴人は京都市交通局施設部車両課において主事として勤務し、交通局の職員で組織される京都交通労働組合の組合員であり、組合支部長であったが、平成11年4月1日付けで、その意に反して、自動車部洛西営業所庶務係長に昇任させられた。
控訴人が本件異動により労働組合員および組合支部長の資格を失い、また政治活動や部落解放運動への関与も制限されることになったもので、本件異動が不利益取扱いおよび支配介入に該当する不当労働行為であると主張し、京都府労働委員会に対し救済の申立をした。
京都府労委は、不利益取扱いについては不当労働行為に当たらないと棄却し、支配介入については労働者個人による申立は認められないと却下した。同命令の取消訴訟でも一、二審とも同旨の判決が出され、上告審(最二小判平16・7・12)では、不利益取扱いについては棄却した判断を維持したが、支配介入については組合員に申立適格があるとする判決を示した。
これを受けて京都府労委は審問を再開したが、再度、棄却命令となったため、控訴人が事実認定および法律判断を誤った違法があるとして取消しを求めたが、第一審(京都地判平18・9・5)は原告の請求を棄却したため、控訴した。
判決のポイント
仮に、労働者個人の団結権及び団体行動権の保護の観点から支配介入に当たるか否かを判断するとしても、…
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