NHK(名古屋放送局)事件(名古屋地判平29・3・28) うつ病休職中の「テスト勤務」、無給は違法と訴える リハビリ出勤に賃金認めず
うつ病休職からの復職可否を判断する6カ月のテスト出局に、賃金支払義務があるか等を争った。名古屋地裁は、リハビリ勤務の実施自体、裁量に委ねられるとしたうえで、軽度な作業を想定し、成果や責任もないなど労務の提供とはいえないと請求を棄却。出局中、管理職の指示に従うことも当然とした。遅刻早退によるテスト中止や休職満了の解職も違法性なしとした。
軽度な作業を想定 成果や責任も勘案
著者:弁護士 岩本 充史
事案の概要
本件は、Yの職員(従業員)であったXが、精神疾患による傷病休職の期間が満了したことにより解職となったところ、その無効を主張して、労働契約上の権利を有する地位の確認および傷病休職中に行ったYのテスト出局(いわゆるリハビリ出勤)により、労務の提供を命じられ、期間途中で中止されたのはYの帰責事由によるとして、テスト出局開始以後の賃金等を請求した。本判決は、Xの請求をいずれも棄却した。
なお、テスト出局の概要は次のとおりである。
ア テスト出局は、精神科領域の疾患により傷病休職中の職員を対象に実施するが、業務ではなく、リハビリの一環である。テスト出局中および出退局途中は業務および通勤ではないため、その間の被災は労災法の対象外で、テスト出局日には、治療を支援する目的で交通費(実費)相当額を支給する。
イ テスト出局は、職員からの復職の申出を受け、主治医が復職可能と判断していることを前提に、職員、管理職および産業医の3者で協議し、実施の可否および内容を決める。テスト出局は、「原則24週(6カ月)間」のプログラムである。前半の12週間でフルタイム(所定勤務時間どおり)の出局ができるまで徐々に勤務時間を増やしていき、後半の12週間はフルタイムの出局となり、少なくとも最後の2週間は通常業務を想定した作業を行う。…
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