ホンダ開発事件(東京高判平29・4・26) 入社3年で異例の異動やバカ発言はパワハラか 配転と言動一体で不法行為
入社3年で総務からランドリー班への異例の異動や、上司の「バカ発言」に関して、元従業員が配転無効や不法行為と訴えた。請求を棄却した一審に対して、東京高裁は、異動命令は新卒社員への配慮に欠けるものの、業務量増大と人員補充の必要から違法無効とまではいえない一方、上司の言動を一体のものとして考えれば不法行為に当たるとして、慰謝料100万円を命じた。
新卒者へ配慮欠く 命令自体は有効に
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
控訴人(一審原告)Xは、被控訴人Y社に正社員として採用され、事業部の総務係に配属されたが、上司AおよびBらの言動により精神的に苦痛を与えられたうえ、合理的な理由なく、不当な動機・目的によりランドリー班に異動させられたとして、ランドリー班において勤務する義務がないことの確認を請求するとともに、不法行為に基づき慰謝料500万円等の支払いを求めた。一審(さいたま地判平28・10・27)は、「AおよびBの言動は、Xの受け止め方の問題…または意思疎通の不十分から生じた誤解によると考えられるものであり、Xに対するパワハラなど、不法行為と目すべきものがあったと認めることはできない」などと判断して、Xの請求を一部却下しその余は棄却したところ、Xが控訴した。
判決のポイント
Y社の労働協約及び就業規則には、業務上の都合により、配置転換等を命ずることがある旨が規定され…配置転換等について、裁量が認められるところ、…Xも出張精算業務や常便業務等の一定の総務業務は担当していたが、担当する業務においてミスが多く見受けられたこと、…ランドリー班では洗濯物の数量が増加し、人員の補強が求められており、本件異動命令が不当な動機・目的をもってなされたとまでは認めるに足りる証拠がないことからすれば、A及びBがしたXへの業務分担のあり方や本件異動を命ずることなどは、新卒社員に対する対応としては配慮に欠ける部分が多く見られるものの、これを違法と評価し、本件異動命令が無効であるとまで認めることはできない。…
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