国立大学法人O大学事件(大阪地判平29・9・25) 傷害致死で懲役8年の判決、労務困難とクビに 起訴休職満了の解雇は有効

2018.05.24 【判決日:2017.09.25】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

 実母に対する傷害致死の容疑で逮捕・起訴された助教が、2年間の起訴休職期間の満了による解雇は無効と訴えた。大阪地裁は、懲役8年の判決で労務提供できない状態が続く見込みで、解雇事由の「雇用関係を維持しがたい場合」に当たると判断。休職満了までに判決が破棄される等新たな事情が生じた証拠もないとした。2年間の上限も、不当に短いとはいい難いとした。

上限2年に合理性 勾留継続見込みで

筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)

事案の概要

 国立大学法人である被告のD研究科の助教として勤務していた原告は、平成24年4月5日、傷害致死の公訴事実により起訴されたことで、被告の定める起訴休職制度に基づき休職処分を受け、その後、2年の休職期間が満了したことを理由に、平成26年5月2日付けで分限解雇となった。

 本件は、原告が、上記解雇は無効であると主張して、被告との間の雇用契約に基づき、同契約上の権利を有する地位にあることの確認等を求めた事案である。

判決のポイント

 1、一般に、労働者が起訴された場合、勾留等の事情により、当該労働者が物理的に労務の継続的給付ができなくなる場合があるほか、勾留されなかった場合でも、犯罪の嫌疑が客観化した当該労働者を業務に従事させることにより、使用者の対外的信用が失墜し、職場秩序の維持に障害が生じるおそれがある場合には、事実上、労務提供をさせることができなくなる。起訴休職制度は、このように、自己都合によって、物理的又は事実上労務の提供ができない状態に至った労働者につき、短期間でその状態が解消される可能性もあることから、直ちに労働契約を終了させるのではなく、一定期間、休職とすることで使用者の上記不利益を回避しつつ、解雇を猶予して労働者を保護することを目的とするものであると解される。

 以上のような起訴休職制度の趣旨に鑑みれば、使用者は、…

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

平成30年5月28日第3162号14面 掲載
  • 広告
  • 広告

あわせて読みたい

もっと見る
ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。