菅原学園事件(さいたま地裁川越支判平17・6・30) 教員の就職部配転、指示違反での解雇は有効か 職種限定の合意認められず
専門学校の教員をクラス担任から外したうえ就職部課長補佐に配置転換し、業務報告を巡る指示命令違反を理由に解雇したケースで、配転は職種限定の労働契約に反するとの教員の主張に対し、さいたま地裁川越支部は職員としての採用で職種限定の合意は認められないとしつつ、解雇は周到に準備したものと認定し解雇権の濫用に当たると判示した。
事務職と区別ない 解雇は権利の濫用
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
被告は、学校法人であり、専門学校デジタルアーツ東京を設置しているほか、仙台市内においても専門学校を経営している。原告は、平成7年4月、被告に採用され、専門学校デジタルアーツ東京の教諭を命じられ、クラス担任と授業を担当していた。
原告は、平成10年4月、医療情報学科のOA実習1時間の授業を担当する以外はクラス担任から外され、学生就職のために企業を訪問する就職部企業情報課課長補佐を命じられた。就職部企業情報課は、部長代理1人および職員3ないし4人で構成され、順次企業訪問し、就職情報を入手したり、卒業生が就職できるよう交渉するものであった。同11年10月以降、OA実習の担当からも外された。
原告は、当該配転は労働契約上の職種限定合意に違反するうえ、配転命令権の濫用にも当たるとして、配転命令の無効を主張するとともに、配転先で企業訪問の報告に関する被告の業務指示に従わなかったなどとして普通解雇されたことにつき、解雇の無効を主張した。
判決のポイント
配転命令について
労働契約において、…
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