東京日新学園事件(東京高判平17・7・13) 専門学校の営業譲渡で元教員が雇用存続を主張 労働契約は当然承継されず
2006.02.20
【判決日:2005.07.13】
経営破綻による専門学校の営業譲渡で、譲受先に元専任教員の雇用契約存続を認めた一審判断を不服として新法人が控訴、元教員も賃金の支払いなどで反訴した。東京高裁は、労働契約は当然に承継されるものではなく、公序に反する労組排除の意図や法人格の濫用の事実もないとして原判決を取り消し、元教員の反訴請求を棄却した。
労組排除意図なし 一審判断を取消す
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
事案の概要
本件は、経営が破綻した訴外学校B法人が設置運営していた専門学校を、新しく設立された学校法人(控訴人)が引き継いだ際、旧法人に専任教員として雇用されていた被控訴人を控訴人が雇用(採用)しなかったことが不当労働行為に該当し、不採用行為は無効であるとして、被控訴人が控訴人に対して雇用関係を主張したのに対し、控訴人がこれを争って、本訴として被控訴人との間に雇用関係が存在しないことの確認を求め、被控訴人は、これに対し反訴として控訴人との間の雇用関係の存在を主張するとともに、新法人における雇用開始の日からの給与および賞与の支払い、並びに不当労働行為により精神的損害を被ったとして、不法行為に基づく損害賠償(慰謝料)を請求した事案である。
第一審のさいたま地裁(平16・12・22判決)は、…
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平成18年2月20日第2573号14面 掲載