新阪神タクシー事件(大阪地判平17・3・18) 業務命令無視の乗務員が就労拒絶中の賃金請求 正しい労務の提供ではない

2006.03.06 【判決日:2005.03.18】
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 タクシー会社の乗務員が、運転者証の表示や点呼簿への捺印などの指示に従わないため就労を拒絶されたことについて、同措置は会社の責めに帰す事由によるとして期間中の賃金の支払いなどを求めた事案。大阪地裁は、法令順守のための各業務命令を拒否した乗務の申し出は、債務の本旨に従った労務の提供ではないと判示し請求を斥けた。

法令に基づく指示 債務の本旨と相違

筆者:弁護士 緒方 彰人(経営法曹会議)

事案の概要

 本件は、被告会社に雇用されたタクシーの乗務員である原告が、被告から就労を拒絶されたため、就労拒絶は使用者の責めに帰すべき事由に基づくものとして未払賃金の支払いを請求するとともに、就労拒絶期間中を欠勤扱いとして年次有給休暇の取得を認めなかったことは不当であるとして損害賠償の支払いを求めたものである。

 すなわち、①被告は、乗務員に対し、乗務の際には、黒短靴及び支給されたネクタイを着用し、かつ運転者証を表示するよう指示していたが、原告がこれに従おうとしなかったため、被告は、平成13年8月9日から10月11日までの間、原告の乗務を拒否した。②被告は、乗務員に対し乗務前の点呼の際には、運転免許証を提示した上、点呼簿に捺印するよう指示していたが、原告は、これにも従おうとしなかったため、被告は、平成14年1月24日から同年4月4日までの間、原告の乗務を拒否した。③被告は、①②の期間を欠勤扱いとして原告に対し年次有給休暇の取得を認めなかった。

判決のポイント

 (1)平成13年8月9日から同年10月11日までの出勤日51日間の労務は、…

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平成18年3月6日第2575号14面 掲載
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