ティ・アンド・ディ・フィナンシャル生命保険事件(大阪地判平17・7・22) 厚年基金を企業年金基金に、控除返戻金支払を やむ得ない事由と認める
2006.04.03
【判決日:2005.07.22】
企業年金基金に移行し消滅した2つの厚生年金基金の団体保険の解約返戻金に早期解約控除を適用した更正生保会社の措置に対し、企業年金基金が控除分の返戻金の支払いを求めた事案で、大阪地裁は、保険契約の条件変更に関する特則で控除対象外とした「契約者の意思によらずやむを得ない事由による解約」に相当するとして請求を認容した。
例外特約に当たる 移行に伴って解約
筆者:弁護士 岡芹 健夫(経営法曹会議)
事案の概要
昭和43年2月、訴外A厚生年金基金は被告Y生命保険会社(以下「Y生保」)との間で、平成5年7月、訴外B厚生年金基金は被告との間で、各々、厚生年金基金保険契約を締結した。
平成13年9月30日、Y生保の更生計画案が東京地裁にて認可されたが、その更生計画案では、Y生保が結んでいる保険契約の大量解約による同社の収支悪化を防ぐべく、保険契約が更生計画認可より早期の時点で解約された場合、保険契約解約時に被告が保険契約者に対して支払うこととなっている解約返戻金の一部を控除する制度(以下「早期解約控除制度」)を設けることとした。
ただし、早期解約控除制度には例外として「団体の解散、合併、営業譲渡および被保険者の転籍ならびに厚生年金基金の解散等、契約者の意思によらずやむを得ない事由により契約の全部または一部を解約する場合」には上記の早期解約の控除を行わないこととしていた。…
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平成18年4月3日第2579号14面 掲載