K工業技術専門学校(私用メール)事件(福岡高判平17・9・14) 私用メール理由の懲戒解雇が無効とされたが… “重大さ”の判断で逆転容認 ★
業務用パソコンで私用メールや出会い系サイトへの投稿などを頻繁に行ったことを理由とする教師の懲戒解雇が無効とされた学校側が控訴した事案。懲戒解雇事由に該当としながらも、重大な服務規律違反でないとした一審に対し、福岡高裁は職務専念義務や規律維持に反し、教職員としての適格性や学校の名誉信用にもかかわるとして処分を相当とした。
送受信の半数超も 多くが勤務時間中
筆者:弁護士 緒方 彰人(経営法曹会議)
事案の概要
本件は、私立の専門学校(以下「控訴人学校」)の教師(以下「被控訴人」)が、勤務時間中に、勤務先のパーソナルコンピューター(以下「業務用PC」)および業務用メールアドレス(以下「業務用アドレス」)を用いて、インターネット上の出会い系サイトに投稿してメールを送受信したこと等を理由とする懲戒解雇の効力が争われたものである。一審(福岡地裁久留米支判平16・12・17)では懲戒解雇が無効とされたため、控訴人学校が控訴した。
被控訴人は、教師として授業を担当するとともに、進路指導課長として学生の就職関係の事務に携わっていたが、平成12年12月頃から、業務用PCおよびアドレスを用いて学外の交際相手Aとの間で私用メールを交わすようになり、同13年4月中旬頃からは出会い系サイトで知り合った複数の女性ともメール交換するとともに、複数の出会い系サイトに登録するなどした。
なお、この間、被控訴人は、複数のメール相手から、業務用PC・アドレスを使用した私用メールについての危惧を示したメールを受け取ったが、そのまま私用メールを続けた。…
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