モルガン・スタンレー・ジャパン事件(東京地判平17・10・19) 投資銀行の元高給社員が在籍中の残業代求める 高額報酬に手当含むと棄却 ★
2006.05.15
【判決日:2005.10.19】
外国為替の専門家として営業に従事していた元従業員が、解雇無効確認訴訟中に「裁量労働制を採用していないとの」言質を得て割増賃金を請求したもので、東京地裁は外資系投資銀行では時間外労働の対価を含む高額報酬が支払われるのが一般的で、実際に基本給は月額183万円余が支給されており、時間外手当を含むと解するのが相当と棄却した。
自らの判断で活動 労基法37条に抵触せず
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
被告Y社の従業員であった原告Xは、所定外労働に対する割増賃金の支払いがないとして、Y社に対し合計799万余円の支払いを請求した。
Y社は、①Xは労基法41条2号の管理監督者に当たる、②Xは1年間に、基本給として2200万余円および裁量業績賞与として約5000万円の報酬を受けており、この基本給の中には超過勤務手当が含まれているなどと主張した。
Y社の社員は、他の社員の補助的な業務につく「一般社員」と、業務の専門家として、自己の判断に基づいて業務を進めることが予定されている「プロフェッショナル社員」で構成されており、Xは、プロフェッショナル社員として、Y社の外国為替本部において営業に従事していた。
Y社では、一般社員についての労働時間管理は厳格に行われているが、プロフェッショナル社員は労働時間管理を一切受けておらず、…
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平成18年5月15日第2584号14面 掲載