大阪医科大学事件(大阪地判平17・9・1) 電話交換手の配転で職種限定を理由に無効確認へ 専門性低く限定の理由なし

2006.05.29 【判決日:2005.09.01】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

 収支改善に向けた外部委託化の一環として、約30年勤務した電話交換手を配転したところ、採用時に職種限定の合意があったとして配転無効確認を請求。大阪地裁は電話交換業務の専門性は低く、職種を限定する理由は見出し難いとし、赤字を抱える大学の現状から配転の必要性を認定し、権利の濫用にも当たらないと訴えを棄却した。

業務上の必要認定 権利濫用当たらず

筆者:弁護士 岡芹 健夫(経営法曹会議)

事案の概要

 Yは医科大学を設置している学校法人である。Xは昭和47年8月28日、電話交換取扱者試験に合格し、同年9月9日、電話交換取扱者養成訓練の全課程を修了して電話交換手の資格を取得、昭和48年9月16日、Yに採用された。採用当時の職種は技能員であり、以降、約30年間にわたり電話交換業務に従事してきた。なお、電話交換業務は昭和59年4月より資格が必要ではなくなった。

 Yは医療収入の減収もあり、平成8年度から消費収支で赤字を続け、平成8年から平成10年度までおよび平成14年度には帰属収支においても赤字となっていた(学校法人において帰属収支が赤字というのは財政上極めて危険な状態にあり、学校法人の資産を食いつぶしている状態といえる)。Yは平成8年度より財政健全化に努めていたが、平成13年5月、中期5カ年経営計画重点項目実施プロジェクトを策定し、外注可能部門の全面委託を掲げた。

 その中で、Yは電話交換業務の外注委託化(同業務の職員の配転)を進めることとし、平成13年8月よりXを含む同業務の職員にヒアリングを行ったところ、Xの回答は「基本的にOK」というものであった。更に、一部の職員を配転した後、平成14年8月に再度ヒアリングを行った際にも、「仕方ない」というものであった。…

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

ジャンル:
平成18年5月29日第2586号14面 掲載
  • 広告
  • 広告

あわせて読みたい

もっと見る
ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。