ブライト証券他事件(東京地判平17・12・7) 親会社の団交拒否は正当との労委命令取消しを 労組法上の“使用者”でない ★
子会社の労組が親会社の事業持株会社に団交を申し入れたが拒否され、地労委に救済を申立てたが棄却されたため、その取消しを求めた事案。東京地裁は、事業持株会社が労働条件を直接支配、決定するのと同程度に、現実的かつ具体的に支配力、決定力を有していたとみることはできず、労組法上の使用者に当たらないとして地労委の判断を正当とした。
支配力は保有せず 子会社に自主性が
筆者:弁護士 緒方 彰人(経営法曹会議)
事案の概要
J社は、従来、主として、証券取引所の才取会員(取引所において正会員間の売買を媒介する業務を行う証券会社)として有価証券の売買等の媒介業務を行っていたが、証券取引所における取引方法に変更があったことから、平成13年3月をもって才取業務から撤退することとし、平成12年に新規事業の開拓と従業員の雇用の受け皿とすることを目的として複数の事業会社(100%子会社)を設立し、平成13年4月1日に自社の従業員を各事業会社に転籍させた上で(本件転籍)、目的を株式所有を通じて事業会社の事業活動を支配・管理すること等に変更し事業持株会社となった。
その後、平成14年3月8日に、事業会社の一つであるB社の従業員で組織されるB組合は、B社に対し、平成14年度の賃金(転籍2年目の賃金)に関する団交の申し入れを行ったが、交渉が難航したため、平成14年6月11日には、J社に対しても、団交の申し入れを行った。しかし、J社は、これを拒否したため、J社の「使用者」性が争われたものである。…
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