三都企画建設事件(大阪地判平18・1・6) 派遣先の交代要求受入れ、残余期間の給与は? “使用者の責”による休業に
派遣先からの派遣労働者交代の要請を受け入れたところ、当該労働者が残余期間の賃金の支払いを求めた事案で、大阪地裁は、交代要請に応じたことで労働者の賃金請求権は消滅するとしたうえで、勤務状況から債務不履行事由が存在しない場合、労基法26条の「使用者の責に帰すべき事由による休業」と認定し、休業手当の支払いを命じた。
労基法26条の手当を 賃金支払義務ないが
筆者:弁護士 岡芹 健夫(経営法曹会議)
事案の概要
Xは、一級建築士、一級土木施工管理技師、一級建築施工管理技師の資格を持ち、土木工事の管理監督を業務として稼働してきており、被告Y社に派遣社員として登録した。
Xは、A社に派遣され(平成15年1月20日~同年3月末日)、A社が請け負った工事の施工管理に従事した。その後、Xは、平成15年4月5日から同年7月末日までの予定でB社に派遣され、B社が請け負った水道工事の施工管理に従事した。
Y社はB社より派遣社員の交代を要請され、その結果、平成15年5月6日、Y社はXに対し交代を命じ、Xはこれに応じ就業を中止した。また、Y社はXとの雇用契約を終了させた。
その後、B社では交代したY社の従業員が勤務した。
XはY社を相手として、平成15年7月末まで派遣された場合の賃金請求(同年5月7日以降の賃金請求)を主位的請求として、仮に主位的請求が認められないとしても、労働基準法第26条による60%の休業手当が認められるとしてその請求を第1の予備的請求とし、仮に主位的請求と第1の予備的請求が認められないとしても、解雇予告期間をおかずにXを解雇したものとして、解雇予告手当の請求を第2の予備的請求として、提訴するに及んだ。…
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