新日本管財事件(東京地判平18・2・3) 住込管理員が執務時間外の実作業に手当を請求 一般的指示なく非労働時間 ★
マンション管理組合から夫婦の住込み管理員の交代要請を受け解雇の意思表示を行った会社に対し、雇用契約上の地位確認と時間外割増手当を請求した。東京地裁は「作業の指示が認められない場合は労働時間といえない」とし、一部の実作業分と不活動時間の請求を棄却する一方、理事会開催など認定可能な部分の支払いを命じた。地位確認請求は棄却。
個別に内容を検討 不活動時間は除外
筆者:弁護士 緒方 彰人(経営法曹会議)
事案の概要
①原告らは、被告会社にマンション管理員として雇用され、Aハイツ(本件マンション)に夫婦住込みで勤務していた。
②被告会社と本件マンションの管理組合との間で締結された管理委託契約には、管理業務実施の態様として「管理員住込形式」と記載されていたが、管理員の執務時間(所定労働時間)が別途規定されており、緊急事態が発生した時等には執務時間外であっても適宜執務する旨が定められていた。しかし、管理員向けの「管理員業務マニュアル」には管理員の執務時間における作業例が示されていたのみで、執務時間外における作業の指示はなかった。
③原告らは、午前中は主として清掃業務を行い、午後は窓口に座って受付業務、施設点検業務、設備監視業務等の管理員業務を行うこととなっており、管理事務所前の掲示には、管理事務所の受付時間が記載されていたほか、急用のある居住者向けに呼出チャイムが設置されていたが、それと併せて被告会社の電話番号も記載されていた。
④このような事案において、原告らは、上記執務時間外に、…
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