新国立劇場運営財団事件(東京地判平18・3・30) 出演契約は労働契約?解除無効と申立て 労働者性指標と同視できず ★
合唱団員の出演契約は労働契約であるとし、更新をしないのは違法として訴えたもので、東京地裁は、オペラ公演における集団性、芸術家性を理由に、業務遂行上の指揮監督性、場所的・時間的拘束性について労働者性の判断指標とは同視できないと判示、報酬も労務対償性を備えていないとして出演契約は労働契約とは認められないと請求を棄却した。
特殊な指揮監督下に 労務対償性ない報酬
筆者:弁護士 岡芹 健夫(経営法曹会議)
事案の概要
Yは、新国立劇場の施設において現代舞台芸術の公演、同施設の管理運営を行う法人である。また、Xは、新国立劇場合唱団のメンバー(ソプラノ担当)として演奏活動を続けていた者である。
新国立劇場合唱団のメンバーには、Yと「契約メンバー出演基本契約」を締結している契約メンバーと、「登録メンバー出演基本契約」を締結している登録メンバーとがある。
Xは、平成9年7月頃、Yのオーディションに合格し、平成10年から平成11年7月まで個別公演ごとにYと出演契約し、平成11年8月1日~12年7月31日、同12年8月1日~13年7月31日、同13年8月1日~14年7月31日、同14年8月1日~15年7月31日、各々1年間を期間とする契約メンバー出演基本契約を締結した。
上記の契約には、YがXと再締結する意思がある場合には期間満了の3カ月前にXに意思確認をする旨の規定と、再契約に際して試聴会を行いXの技能を評価したうえ、Yが再契約の有無を決定する旨の条項がある。…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら