協和出版販売事件(東京地判平18・3・24) 定年60歳へ、55歳以降の新設給与規定は無効か 不利益変更だが合理性認容
2006.12.04
【判決日:2006.03.24】
高年法の60歳定年義務化にあわせ定年を延長、55歳以降の嘱託社員給与規程を新設したが、該当従業員が就業規則変更を無効として差額賃金などを請求した。規程の新設で不利益変更ではないとの会社の主張に対し、東京地裁は双方の利害を比較考量し合理性を検討すべきとし、経営実態や旧嘱託社員との賃金バランスなどから変更の合理性を認めた。
経営上やむ得ない 旧嘱託制とも均衡
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
事案の概要
本件は、従来55歳定年としていた被告が、平成10年5月以降、60歳定年とし、併せて55歳に達した翌日から嘱託社員としてそれまでの従業員賃金とは別の給与体系とし、これを原告ら従業員に適用したことから、原告らは、そのような55歳到達以降の大幅な給与減額による就業規則の変更は不利益変更に当たり無効であるとして、本来支給されるべき賃金額と実際に支給された賃金額との間の差額並びに原告らの一部の者らによる時間外賃金に関する同様の差額について被告に請求した事案である。
判決のポイント
1 原告らは本件就業規則の変更が不利益変更に当たるとするのに対して、被告は、従来は55歳以降の給与規定はなかったのであり、…
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平成18年12月4日第2611号14面 掲載