NTT(配転無効確認等)事件(札幌地判平18・9・29) 業務の外注化で配転、高齢社員が違法と慰謝料を 個別に判断し権利濫用と判示 ★
違法な配転命令により精神的苦痛を受けたとして、50歳代の社員ら5人が慰謝料を請求したもの。札幌地裁は、勤務地・職種の限定はなく、業務外注化の必要性を認めつつも、労働者の個別的事情が斟酌されなければならないとし、各人の配転先での業務内容を検証したうえ、業務上の必要性は認められず権利の濫用と判示、請求の一部を認容した。
配属先業務を検証 合理化の効果なし
筆者:弁護士 岩本 充史
事案の概要
東日本地域で電気通信業務等を営むY社は、電話料金や接続料金の値下げ、他事業者の新規参入によるシェアの落ち込みなどから、事業構造転換を柱とした「3カ年経営計画」を平成13年4月に策定。これに基づく「構造改革に向けた業務運営形態等の見直し」と題する計画(本件計画)を社内の全ての労働組合に提示した。うちNTT労働組合とは11月に合意した。
本件計画の骨子は、基幹業務である固定電話の保全、管理等業務を都道県別に新設する子会社(OS会社)に外部委託するもので、同業務従事者のうち13年度末に50歳以上の従業員に対し、現行の雇用維持か、いったん退職後OS会社の選択式処遇による再雇用かという、処遇体系の多様化策を提示した。
具体的には、OS会社再雇用ルートとして、(a)14年4月30日にY社を退職、5月1日OS会社に雇用され、60歳定年後、最長65歳まで雇用する「繰延型」(勤務地は当該都道県内に限定。Y社での所定内給与比で15ないし30%低下するが、激変緩和措置としてOS会社の退職手当および契約社員期間の給与加算により最大約60%程度支給される。企業年金等も受給)と、…
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