精電舎電子工業事件(東京地判平18・7・14) 敏腕部長が組織内不和で配転に、命令は有効か 退職促す目的で権利濫用に
2007.02.19
【判決日:2006.07.14】
製造部長として中途入社し、他部門との不和から営業部長付へ部下とともに配転させられたため、職位の解任および配転命令の無効を訴えた事案。東京地裁は、会社の配転命令権の存在は認めたが、事前の説明や意見聴取がなく、対立先への異動などから、退職に追い込む意図があったと推認できるとして、権利の濫用と判断し慰謝料の請求も一部認容した。
“対立先”への異動 意向聴取もせずに
筆者:弁護士 岩本 充史
事案の概要
X1は、人材紹介会社から製造部長を探していた電子装置等の製造販売・修理を目的とするY社を紹介され、平成14年4月1日から製造部長として経費低減・業務改革に取り組み、またX2は、以前の会社でX1の部下であったことから、資材・購買業務改善の適任者としてY社に採用され、製造部購買グループ次長の職に従事した。
X1、2らのコストダウン成果は人事評価で高い評定を受けながらも、他部門との連絡、協調に欠けるとの苦情がめだつなどの事情も生じていたため、同16年7月20日、Y社はX1、2をそれぞれ解任し、営業部部長付(管理職待遇)とする人事異動を発令、職務手当を減額した。
X1、2は異議を述べつつ営業部に異動したものの、営業活動の実態などから、解任、配転は無効で、営業部部長付として勤務する義務のないこと、配転前の職務上の地位および職務手当の支払いを受ける権利の確認、慰謝料等を請求した。…
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平成19年2月19日第2621号14面 掲載