ニッコクトラスト事件(東京地判平18・11・17) 寮に住み込み20時間も働く? 割増賃金支払うか 本務活動だが“任意”の労働
独身寮での、調理・管理業務を行っていた住込み管理人夫婦は、実働8時間の契約だが、実際は1日20時間働いていたとして割増賃金の支払いを求めた事案。東京地裁は、原告の本務活動は、あくまで所定労働時間内で処理できる業務管理を行うべきという、会社の指示をはるかに超えるものであり、自らの判断で勤務していたに過ぎないとして、請求を棄却した。
時間外に該当せず 8時間で処理可能
筆者:弁護士 加茂 善仁(経営法曹会議)
事案の概要
本件は、企業の独身寮に派遣され、住込みで調理および管理人業務を行っていた夫婦が、退職後に夫(原告M)の金曜日(休日)以外の労働時間は1日当たり20.5時間であり、金曜日も寮の事務・管理、翌日の調理の仕入や準備を行っており、労働時間は1日18時間であったとして、時間外労働、深夜労働および休日労働の割増賃金の支払いを求めた事案である。
これに対し、会社は、原告Mの勤務時間は、6時から22時までの16時間であり、そのうち8時間は休憩時間であり、毎週金曜日は休日である。さらに、独身寮における仕事は、その内容、量のいずれにおいても実働8時間内で十分処理できる。仮に、原告Mが主張する労働がなされていたとしても、任意に行ったものに過ぎない。会社が指示していたことは、6時から22時までの間に実働8時間の範囲内で仕事をするようにということであり、その間をどのように配分するかについては、原告Mに任せていたと主張した。…
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