アクト事件(東京地判平18・8・7) 飲食店の元マネージャーが2年分の割増賃金請求 労基法上の管理者に当らず
肩書きは「マネージャー」だが、権限や業務内容から、管理監督者には当たらないとして飲食店の元従業員が時間外・深夜労働の割増賃金を求めた。東京地裁は、シフト制で働き勤務時間の裁量がなく、接客業務はバイトと変わらない点や、役職手当も管理監督者として十分な処遇とはいえないと判示し、請求を認容。割増賃金に加えて付加金の支払いも命じた。
バイトと同一業務 裁量も権限もない
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
原告は、平成11年12月被告に入社し、17年2月に退職したが、平成15年1月から17年2月までは、被告の関連会社の経営する飲食店でマネージャーとして勤務していた。
被告の各店舗には、店長のほか、いずれも正社員である、接客担当の責任者であるマネージャー、サブマネージャー、料理長(チーフ)、サブチーフが配置されており、他の従業員はほとんどがアルバイトであった。アルバイト従業員については、各店舗の店長とマネージャーが採用、人数、時給を決めていた。
マネージャーには各店舗の営業時間を決める権限はなく、被告が営業時間の変更、休業日を決定していた。
被告では、サブマネージャー以上の管理職に対して、役職手当が支給されていたが、一般社員および主任に対しては5万円の定額時間外深夜手当が支給されるので、マネージャーとその下位にあるサブチーフとの役職手当の差は1万円ないし1万5000円であり、職能手当については、一般職と管理職との差は、1万円から8万円だった。…
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