滋賀ウチダ事件(大津地判平18・10・13) 成果主義で最低評価に、減給分の請求は正当か 運用や方法に不当な点ない
成果主義導入に伴い最下位の評価を受け減給された社員が、賃金規定の改定を不利益変更と主張し、改定前の賃金との差額を請求した事案。大津地裁は、給与の減額が目的ではなく、社員の意欲を刺激するよう考課の結果をより昇給に反映させるためで、過度に不利益が及ばないように配慮措置を講じていることから、改定は不合理ではないとして請求を棄却した。
考課の反映が目的 不利益制限措置も
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
(1)会社(滋賀ウチダ)は、資本金2500万円の事務用教育用機械器具用具の販売等を目的とする株式会社である。
社員甲は、平成元年11月21日、会社にシステムエンジニアとして雇用された後、業務課調達担当を経て平成14年5月1日から配送等の業務に配置転換され、現在に至っているものである。
(2)会社は、第13期(平成14年7月21日から平成15年7月20日)上半期においては、売上げが減少し、約3500万円の赤字が発生し、同期は約1300万円余りの経常損失を計上することとなった。そのため、会社では、フェニックスプロジェクトとして、会社に対する経営上の提言を求めて検討した結果、管理職の役職手当を平成15年2月から7月まで、課長10パーセント、部次長15パーセント、取締役20パーセントカットすることとし、契約社員の契約解除、借入金の金利低減、契約社員への雇用形態変更など経費削減策を行う一方、昇給を維持することが困難になることが予想されたため、業績が回復せず給与財源が限られたなかで社員の意欲を維持するためには会社に対する貢献を給与等に反映できる給与体系にせざるを得ないと判断した。…
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