大虎運輸事件(大阪地判平18・6・15) 完全歩合給の夜行便貨物運転手が割増を請求へ 賃金に深夜分含む合意認定
夜行便に従事した元トラック運転手が待機中も含めた時間外・休日・深夜割増賃金を求めた事案。大阪地裁は、勤務が深夜時間帯であることから、賃金に深夜割増を含む合意を認める一方、時間外や休日分は通常の賃金と判別できない点を理由に支払いを命じた。なお、仕事の合間は拘束されず指揮命令下にないとして、手待時間や労働時間にあたらないと認定した。
残業と休日は認容 空き時間を除いて
筆者:弁護士 緒方 彰人(経営法曹会議)
事案の概要
本件は、長距離トラック運転手であった原告らが、貨物自動車運送事業等を営む被告に、時間外・休日・深夜労働の割増賃金の支払いを求めたもの。
原告らの業務実態は、①出発当日の夕方6時頃までに、積込先である運送会社のターミナルへ赴き、荷物を積み込み、午後9時か10時頃に配送先に出発、②輸送中は高速道路のパーキングエリアなどで休憩をとりながら運転し、配送先への到着は翌日の午前7時もしくは午後0時前後となることが多かった、③配送先への到着後に、荷物を下ろす作業が終了すると、次の仕事の指示を受けるまで自由に過ごすことができ、その間、原告らは、トラックを無料駐車場や被告の営業所に駐車し、食事の際には飲酒することもできるし、パチンコをすることもあった、④配送先から帰還する場合、配送先の近くの運送会社で荷物を積み込み、これを帰還先方面に配送することが通常であったが、このときも、午後6時頃には、積込先に赴き、荷物を積み込んだ後、午後9時前後には出発し、行きと同様の時間を掛けて戻っていた(なお、所定労働時間が定められていたとの事実認定はない)。…
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