アサヒ急配事件(大阪地判平18・10・12) 運送委託契約を解除、従事者が労働者性を主張 業務指示など使用従属関係に
業務委託契約により自動車貨物運送を行っていた労働者3人が、労組加入直後に行われた契約解除通知は、労働者に対する「解雇」に当たるとして、その無効と賃金支払いを訴えた。大阪地裁は、業務上の指揮命令や労働時間管理、報酬の決定方法などから使用従属関係を認容。労務提供は常用性を有しているとしたうえ、解雇法理を類推適用し、解雇無効と判示した。
報酬は労務の対償 解雇の法理を適用
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
アサヒ急配㈱は、一般貨物自動車運送事業などを営む株式会社で、X1は、平成12年8月1日から会社の大阪支店でチャーター業務、専属業務に従事し、X2は平成12年8月16日頃から会社の堺支店で専属業務に、またX3は、平成15年3月12日から、会社の大阪支店で引越業務などに従事し、同年11月24日から、堺支店において、倉庫の整理、洗車、草むしり、およびチャーター業務や専属業務の応援などに従事していた。
Xらは会社での労務提供に当たり、会社の求めに応じて、委託業務の範囲や業務に使用する配達車両の貸与、接客、服務、報告の義務、契約期間(6カ月単位)などを定めた「運送委託誓約書」を提出しており、業務に使用する車両の燃料代、保険料、通常の修理費は会社が負担していた。
ところで、Xらの所属する全国一般大阪地方本部およびアサヒ急配労働組合は、会社に対し平成15年8月5日付の書面により、訴外Aを委員長、X1、X2を副委員長、訴外Bを書記長とする組合を結成したと通知、賃金などの労働条件の改善を求めて団体交渉を申し入れたところ、会社は、同月14日付の「運送委託契約解除の通知書」によりX1、X2、X3との運送委託契約を平成15年12月19日、16年2月15日、同年1月21日をもって、それぞれ終了する旨を通告した。…
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