スカイマーク事件(東京地判平19・3・16) 長期団交拒否で信用失墜、労組が損害賠償請求 故意の加害行為に相当する ★

2007.05.28 【判決日:2007.03.16】
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 航空整備士の雇止めを巡る団交に長期間応じないのは団結権など権利を侵害し、社会的信用も毀損したとして、個人加盟の労働組合が会社に損害賠償請求した。東京地裁は、非組合員に関する事項以外は義務的団交事項で、団交拒否は不当労働行為に当たり不法行為法上も違法性を帯びると指摘。分会消滅の事実ともあわせ故意の加害行為に相当として請求の一部を認めた。

拒む正当理由ない 分会も事実上消滅

筆者:弁護士 岩本 充史

事案の概要

 本件は、一般労働組合であるX労組が、航空会社であるY社に対し、整備士の組合員が雇止めを通告されたこと等に関し団体交渉を申し入れたところ、Y社がこれに応じなかったことがX労組の団結権、団体交渉権等を侵害する不法行為に当たるとして損害賠償請求を行ったもの(なお、Y社はX労組による街宣行動で、名誉・信用を毀損されたとして損害賠償等を請求したが、本欄では割愛する)。

 航空整備士のCは、平成17年5月31日をもっての雇止めを予告されたことからX労組に加入した。X労組は、同年4月25日、Y社に対して①採用時の約束を守り、C組合員を正社員(期限の無い雇用契約)に切り替えること、②社員が納得して働けるよう、C組合員以外の職員についても採用時の約束を履行すること、③労働条件の一方的切り下げはしないこと(本件要求)を議題として団交を申し入れたが、Y社総務人事本部のEは、「この件で組合と交渉する必要はない」と回答し、平成18年8月11日まで1年4カ月にわたって団交拒否を継続した。

 団交の機会を得られないまま推移するうち、Cも本件雇止めを不服として提起した仮処分申立てが却下されるに及んで、Y社への復職の希望を失い、他の支持者が離れたことと相まって、Cを委員長としたX労組分会は係争中に事実上消滅状態となっていた。…

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平成19年5月28日第2634号14面 掲載
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