関西金属工業事件(大阪地判平18・9・6) “変更解約告知”に応じない10人の解雇は有効か 必要限度超えた削減で無効 ★
変更解約告知に応じないために解雇された社員10人が、従業員たる地位の確認請求を行った。大阪地裁は、再雇用に応募しても採用されないことがある変更解約告知は、賃金の切下げのみならず人員削減も目的としていることから整理解雇と同旨と判示。10人の解雇は会社が示した6人分の人件費削減が必要という許容限度を超えており、10人全員の解雇を無効とした。
余剰の人員は6人 整理解雇と同機能
筆者:弁護士 緒方 彰人(経営法曹会議)
事案の概要
被告会社は、工事用照明器具等の製造・販売を事業とする会社で、原告ら10人は、被告会社において正社員として勤務し、いずれも全日本金属情報機器労働組合大阪金属支部の組合員であった。被告会社は、長年にわたってM社と取引を行ってきたが、平成4年をピークに取引量が縮小し、同9年以来、一般経費の削減、パートの雇止め、希望退職の募集等を行ったが、平成14年11月30日には取引が完全に解消されたため、売上高の目標等を定めた「経営数値3カ年計画」を立案した。
しかし、同計画の売上目標が達成されない月があり、被告会社では、①まず、勤続30年以上の全従業員を対象として6人の希望退職を募集、②次に、勤続25年以上の全従業員を対象として、平成16年5月20日付で解雇し、他方で解雇対象者を新規の採用条件で募集するという内容の変更解約告知を行うものとし、③①に応募しなかった者並びに②に同意しなかった者および②に同意しても新規に採用されなかった者は、平成16年5月20日付で整理解雇する、という内容の人員計画を立案し、組合と全従業員に対し発表した。しかし原告ら10人は上記①②に応じなかったため、被告会社は①②に応じなかったことを理由に解雇した。…
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