国立大学法人群馬大学事件(前橋地判平29・10・4) ハラスメントで退職勧告、拒否したと同日解雇 懲戒処分の切替えは不相当
パワハラやセクハラを理由に諭旨解雇を勧告され帰宅しようとした教授に対し、大学は応諾意思なしとして懲戒解雇した。裁判所は、処分の切替えに手続き的瑕疵があり不相当として、慰謝料15万円を認容。退職金に影響が及ぶなど、勧告に応じる機会を法律上保護される利益とした。検討に要する時間の聴取や回答期限を設定できたとしている。非違行為は軽微で解雇も無効に。
退職する機会奪う 非違行為も軽微で
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
被告は、平成26年10月、教授であった原告に対し、原告のパワハラおよびセクハラ等を理由として諭旨解雇処分をする旨を告げて、懲戒処分書と処分説明書を交付し、諭旨解雇の応諾書または応諾拒否書のいずれか一方にサインをするように求めた。原告は、各文書を一旦持ち帰ったうえで、応諾するか否かを検討したい旨を告げたが、被告は、原告の言動をもって諭旨解雇の応諾を拒否したものと判断し、懲戒解雇処分とする旨を告げて、懲戒処分書と処分説明書を交付した。
原告は、解雇は無効と主張し、労働契約上の権利を有する地位の確認と賃金等を請求し、さらに、被告が諭旨解雇処分を懲戒解雇処分に切り替えた行為により、意思決定の機会を奪われ、精神的損害を被ったと主張して、民法709条に基づき慰謝料100万円等を請求した。被告の就業規則では、「諭旨解雇」について、「退職願の提出を勧告して解雇する。ただし、勧告に応じない場合には、懲戒解雇する」と規定していた。
判決のポイント
本件懲戒解雇は、同日の時点では、原告が退職願の提出の「勧告に応じない」と断定できないにもかかわらず行われたものであり、解雇手続が就業規則…の規定に違反した違法な処分である。…本件懲戒解雇…は、そもそも全く懲戒事由が存在しないのに懲戒解雇したというような場合ではなく、…
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