PE&HR事件(東京地判平18・11・10) 準取締役で採用した社員が退職し残業代を請求 処遇実態は管理職にあらず
2007.07.02
【判決日:2006.11.10】
「パートナー」として採用されたが、会社が主張する管理監督者性がないとして退職後に時間外割増賃金の支払いを求めた。東京地裁は、時間外手当に代わる特別の手当も支給されておらず、地位・就業面・給与面の待遇に照らし管理職の地位にないとして請求を一部認容。なお時間管理が行われていないため、使用パソコンのログデータを用いて残業時間を算定している。
時間の裁量権狭い 特別な手当もない
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
被告PE&HR社は、ベンチャー企業に対する投資、経営コンサルタント業、有料職業紹介事業等を行い、従業員は約8人で就業規則は有していない。原告Aは、平成17年4月1日に入社、同年9月30日まで、6カ月間就労した。
Aの業務内容は、営業と経理であり、会社の指揮命令のもと事業所内で業務に従事した分の時間外賃金を請求したが、会社はAが労基法41条2号の「管理監督者」で、労基法上の労働時間、休憩および休日に関する規定の適用を除外する職種であるため、時間外賃金は発生しないとして争った。
会社はAを「パートナー」契約で採用したものであり、取締役に準ずる地位にあること、会社の経営に参画する職種であって、経営者と一体的な立場にあることから、出退勤時間を管理しておらず、Aは所定労働日に出勤しないことや始業時刻の午前9時に出勤しない日もあったが、会社は欠勤、遅刻扱いにしていないと主張した。…
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平成19年7月2日第2639号14面 掲載