ジョナサン事件(大阪地判平18・10・26) 経営難で閉店、全員解雇後すぐに新店オープン 偽装閉鎖で解雇権の濫用に
2007.07.16
【判決日:2006.10.26】
店舗閉鎖を理由にパチンコ店全従業員が解雇されたところ、2カ月後に新店舗がオープンしたため、元従業員3人が偽装閉店で解雇は無効として地位の確認、賃金および慰謝料を請求した。大阪地裁は、退職の合意は窺えず、短期間での開店には事前計画が推認できるとし、人件費削減を目的とする偽装閉店と断じ、解雇権の濫用で無効としたうえ慰謝料の支払いも命じた。
推認できる計画性 人件費削減が狙い
筆者:弁護士 岩本 充史
事案の概要
Y1、Y2は、パチンコ店等を併せて3店を経営する株式会社で、代表者は丙川が務めていた。X1は昭和63年、Y1に入社し、平成3年頃にY2に移籍、平成10年10月に会計課長となり3店の現金収入の集計等を担当していた。X2は平成7年にY1に入社、翌年Y2に移籍、X3は平成7年、Y1に入社した。
平成17年4月4日、丙川は、同日をもって従業員全員を解雇し3店を閉鎖すること、4月28日まで営業を継続し、その収益を従業員の退職金に充てると告げた。その後、3店は閉鎖したが、2カ月後の6月28日、Y1とY2は閉鎖した3店の後にパチンコ店の営業を開始した。
そこでXらは、雇用契約を締結していたY1、Y2に対し、本件解雇は3店の閉鎖を偽装してなされたもので無効で、仮にXらの退職の合意があったとしても、詐欺取消しないし錯誤無効として、雇用契約上の地位の確認、解雇の翌月分からの賃金と慰謝料等の支払いを求めた。…
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平成19年7月16日第2641号14面 掲載