損害保険ジャパン(人事考課)事件(東京地判平18・9・13) 低査定は上司の不法行為と会社に減額分を要求 考課者の裁量に逸脱はない
人事考課で理由なく低位査定が行われたのは上司の不法行為、会社の債務不履行だとして、給与、賞与の減額分などを求めた事案。東京地裁は、第1次、第2次考課の手続きや方法は適正であること、考課は業績だけでなく、職場内の協調性など数字では表せない要素も総合して行われることから鑑みても、考課者の裁量に逸脱はないとして、請求を棄却した。
具体的な根拠ある 2次段階も同評価
筆者:弁護士 岡芹 健夫(経営法曹会議)
事案の概要
Xは昭和55年10月に、損害調査専門職員(損害調査部門の業務または営業活動に専ら従事する者)としてY社に入社したが、平成14年12月に退社した。
Xは平成9年4月1日より平成10年9月末まで、川越SC(サービスセンター)に属し、Zはその際におけるXの上司であり、昇給賞与考課手続き上の第1次考課者であった。
Y社における昇給賞与考課は、第1次考課は課支社長、第2次考課は部店長であり、いずれも絶対考課で行い、その後、損害調査専門職については地区本部で相対調整を行っていた。考課は、チャレンジ目標達成度判定と担当業務達成状況を総合して行われる。
チャレンジ目標達成度判定は、対象者が設定した目標(5項目以内)を達成したかどうかの判定であり、担当業務達成状況の評価項目は、Y社が定めているものであり、①適正払い、②標準業務・SAILING21(業務遂行のコンピューターシステム)の有効活用・ガイドラインの達成状況、③チームプレイ・基盤整備、④生産性について、自己評価も経て行われる。
Y社における考課結果は、S(最高)、EH、H2(平均)、H1、A、B(最低)の判定により行う。…
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