クリスタル観光バス(雇用延長)事件(大阪高判平18・12・28) 雇用延長の拒否、一審は判断の合理性認めたが 限定列挙の例外に当たらず
2007.10.08
【判決日:2006.12.28】
バス運転手が雇用延長を拒否されたのは労使協定の趣旨に反すると、賃金支払いを求めた事案の控訴審。大阪高裁は、例外事由は限定的に列挙したもので、これに該当しない場合は「希望者全員の雇用を延長する協定」と判示、事故歴などの拒否事由を他の延長者と比較したうえで例外事由に当たらないとし、協定の適用を誤ったもので、非承認の意思表示は無効とした。
協約の適用に誤り 事故歴など重くない
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
Xは、60歳で雇用を打ち切られたのはY社と労働組合との間の「雇用延長に関する協定書」に反するなどと主張して、雇用契約上の権利を有することの確認および賃金等の支払いを請求した。控訴審でXは、雇用契約上の権利の確認請求を取り下げ、雇用延長期間中の賃金等の支払い請求に訴えを変更した。
Xは、昭和60年9月、観光バスの運転手としてY社に採用され、私鉄総連N観光バス労働組合(後に、私鉄総連K観光バス大阪労働組合)に加入した。Y社は、N観光バス㈱の商号で営業を行い、N電気鉄道㈱がY社の株式のすべてを所有していたが、平成15年1月、K社がY社の株式すべてを譲り受け、取締役が交代し、商号も変更された。
平成13年1月、本件労組とY社との間で、平成13年4月以降、満60歳に達する者の雇用を満62歳まで延長する旨の「雇用延長に関する協定書」が締結され、協定には雇用延長の対象者について、次のような定めがあった。…
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平成19年10月8日第2652号14面 掲載