日産センチュリー証券事件(東京地判平19・3・9) 営業日誌持ち帰り懲戒解雇に…「機密の漏洩」か 正当な目的有し処分は無効 ★

2007.11.12 【判決日:2007.03.09】
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 証券会社の営業社員が、訪問場所と顧客名を記載した日誌を自宅に持ち帰ったことを理由とする懲戒解雇は無効として争った事案。東京地裁は、日誌を第三者へ開示する意思やその事実はなく、機密漏洩に当たらないと判示。使用目的は顧客訪問計画の作成で正当性があり、安全な方法で保管していたことから、漏洩行為の態様は軽微で、解雇権濫用により無効とした。

自宅で訪問計画を 流失の危険性低い

筆者:弁護士 岩本 充史

事案の概要

 証券会社Yの社員で、同社労組の副委員長でもあるXの配置転換について、Xおよび労働組合は、Yの団体交渉拒否は不当労働行為に該当するとして、東京都労働委員会へ救済命令の申立てを行った。この審問期日に、Xは、Yの顧客情報が記載されたXの営業日誌を書証として提出しようとし、写しを都労委およびY社代理人に交付したが、直ちに提出を撤回し、いったん交付した本件写しを回収した。

 これについてYは、都労委における営業日誌の写しの交付および上司の許可なく、営業日誌の写しをとり、自宅に持ち帰り、配転後も引き続き保管を続けたことが就業規則に定めている懲戒事由に該当するとして、Xに対し諭旨退職処分の懲戒処分を行ったが、Xが退職願を提出しないためXを懲戒解雇とした。

 そこで、Xは、当該懲戒解雇は無効として、労働契約上の地位確認および未払い賃金の支払いをそれぞれ求めて提訴した。…

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平成19年11月12日第2656号14面 掲載
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