空知土地改良区事件(札幌高判平19・1・19) 酒席の暴言で4階級降職 原審無効としたが 節度求められる役責に違背 ★

2007.11.26 【判決日:2007.01.19】
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 市町村の土地改良区の総務部長が慰労会などで監事、理事への暴言を理由とする4階級降格処分の有効性を争った控訴審。札幌高裁は、部下を指導監督する立場上、必要な適格性を欠き、管理職として不適切な発言であると判示。酒席の場でも、責任を免れるものではなく節度ある言動が求められ、給与減額も4万円程と少額であることから、合理性を欠く処分でないとした。

発言内容は不穏当 給与減額も僅少で

筆者:弁護士 石井 妙子(経営法曹会議)

事案の概要

 Xは、土地改良区Yの総務部長および出納責任者の地位にあったが、監事会後の慰労会の二次会において、A監事に対し、「監査の指摘により改良区も職員の立場もガチャガチャにされてしまった」、「今までのような発言をしていたら、後ろから石をぶつけられるぞ」、「お前の後継者の立場や家族の将来もないようにするぞ」などと発言した。

 Yは、これらの暴言は職場秩序を乱すものであり、事務部門のトップとしての素質能力に欠け、ひいては職務の遂行に支障を生じるおそれがあるとして、Xを総務部長職から解き、技師に任命して管理係長を命じた。

 Xは降職処分を不服として、①総務部長および出納責任者の地位の確認、②減額分の給与の支払い、③慰謝料の支払い、その他、④同時期になされた退職給与規程の改正が無効であることの確認を求めて提訴した。…

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平成19年11月26日第2658号14面 掲載
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